Q.
最近、親が物忘れが多くなり、認知症ではないかと心配しています。本人は認知症ではないと言っており、病院に行こうとしません。そこで認知症かどうかを簡単に判断できる方法はありますか。
A.
「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」があります。
これはお医者さんから患者に対して以下のような質問がされ、その答える度合いに応じて認知のレベルを判断するものです。
全部で9問有り、30点満点で間違いは0点、正解は1点となります。
例えば、
- お歳はいくつですか? (2年までの誤差は正解)
- 今日は何年何月何日ですか? 何曜日ですか?
- 私たちがいまいるところはどこですか?(自発的に答えれば2点、5秒おいて家ですか?病院ですか?施設ですか?のなかから正しいものを答えれば1点)
- これから言う3つの言葉を言ってください。
- 100から7を順番に引いてください。(※5問まで一部抜粋、参考文献:「ボケた親の財産を守る」技術評論社より)
- ・・・・・・
- ・・・・・・
- ・・・・・・
- ・・・・・・
判定は、30点満点中20点以下は認知症の疑いがありとなります。このテストは年齢別による正常値はありません。ただし、あくまでもテスト自体は参考程度にとどめる必要があるかもしれません。
というのも、以前、私の父親が受けたときは28点とかなり高得点で安心していたのですが、直後に受けたMRIの検査結果はアルツハイマー型の認知症との診断を受けました。MRIを受けたことにより適切な対応が可能になったと思っています。
さて、このような認知症は遺言に影響をあたえるのでしょうか。もし、「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」の結果、20点以下である親が遺言書を作成した場合の有効性はどうなのでしょうか。つまり、高齢の親が遺言書を作成した時点においての遺言能力の存否の問題です。裁判所は、遺言能力の存否を判断するにあたって「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」の結果のみらず、主治医が作成したカルテの内容、介護記録の内容、遺言者の生活状況、遺言書の内容等さまざまな事情を勘案するとのことです(参照:「相続・遺言の落とし穴」新日本法令)。
このように、「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」の結果が20点未満だからといってすぐに遺言能力がないとのことにはならないみたいです。
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