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認知症などで成年後見制度を利用するのは法定後見制度

親が認知症(判断能力ない場合)などで介護状態になった場合、親の介護費や入院費を支払うため、たとえ子どもであっても親の銀行口座から引き出すことはできません(※2020年3月に全国銀行協会から各銀行に対して認知症患者の預金を家族が引き出しやすくなるよう戸籍抄本などで家族関係が証明され、施設や医療機関の請求書で使途が確認できれば口座からお金を引き出せるように通知を出す予定と日本経済新聞で報じられました)。

 

親が認知症などで判断能力がなくなった場合でも、まずは、親の持っている金融機関に相談しましょう。例えば、某地方銀行では、親の口座から直接病院などへの送金であれば受け付けてくれると言われました。

 

親の銀行口座が凍結すると、親の財産が使えなくなり結果、子どもがご自身のお金で支払うか、もしくは法定後見制度を利用するかの選択になります。

 

成年後見人の基本報酬は毎月2~6万円

よく耳にするのが、子どもが親のキャッシュカードを持ち、暗証番号を知っていればキャッシュカードで引き出し支払いは可能(法的な問題や後々相続人間での争いになる可能性があります)。

 

ただし、キャッシュカードを紛失したり、磁気不良になった場合、再発行手続きには、銀行側は本人確認をします。銀行側が親本人との会話等において「判断応力がない」と判断すれば、「成年後見人制度を利用してください」といいます。成年後見人をつけるには家庭裁判所に申立てをしなければなりません。

 

しかも一度がつくと成年被後見人の判断能力が回復しない限り、もしくは、亡くなるまで続きます。勝手にやめられないということです。また、全く面識のない専門職の方が後見人についた場合、報酬が発生します。毎月約2万円~6万円です(後見人は裁判所が決めます)。介護が長期化しており、10年続けば約240万円~720万円。思った以上に高額で無視できない金額です。

任意後見制度、家族信託、預り金なども

判断能力のあるうちに自分で後見人を選ぶことができる任意後見契約、家族(民事)信託、預り金などを活用することが対策になるのではないでしょうか。

  • 家族信託を利用した場合は、初期費用としてまとまったお金(信託財産のおおよそ1.5%~2%)が必要になりますが、ランニングコストが原則かかりません。
  • 預り金は、子どもの名義で「預り金専用口座」を作り、親御さんから介護費用を預かります。必ず契約書などを作成して、介護費用に使ったという領収書などのエビデンスは必ず残しましょう。

まとめ

認知症などで判断応力がなくなった後は、法定後見制度しかありません。法定後見制度を利用したときに、家庭裁判所から後見人に専門職が選ばれると、管理財産額に応じて毎月2~6万円くらいのランニングコストが必要になります。介護も長期化しており、10年では相当な金額になります。親御さんがお元気なうちに、任意後見制度、家族信託、預り金などを利用してみてはどうでしょうか。

成年後見制度の詳細は法務省をご参照ください。